2018年6月10日日曜日

ドラマで話題の手術支援ロボット intuitive Surgical

最近ドラマで話題の手術用ロボット。モデルとなった「ダヴィンチ」を開発したのは米インテュティブサージカルです。1995年創業の米企業で現在の時価総額は540億ドル。内視鏡手術用のロボットでは完全なる独占状態であり、業績・株価ともに右肩上がりです。海外のアナリストからは医療業界のAppleとの評価も受けています。
ただ結論から述べると私は同社株を薦めるつもりはさらさらなく、むしろドラマを見てこの株へ投資を考えている投資家がいるのならば、それを戒めるべくこの記事を書いています。会社自体は大変素晴らしく、それを疑う余地は全くないのですが、人類を救っても投資家を救うとは限らないというお話です。
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intuitive Surgical










手術支援ロボットのダヴィンチは主に内視鏡手術で使用され、従来よりも大幅に術時間を短縮し、傷口を最小限に留めるとともに出血を抑え、合併症の確率を引き下げ、医者は座ってオペができるという優れものです。画面に映る3Dの映像を見ながら数ミリ単位の繊細な手術を可能としており、従来は熟練の技術が必要だった内視鏡手術のハードルを大きく下げました。
日本では2012年から保険適用となりましたが、今年の4月には対象となる手術が拡大されました。手術用ロボットの市場が今後さらに拡大することに異論がある人はいないでしょう。ダヴィンチによる手術は患者・医師双方の負担を大幅に軽減し、治療の観点からデメリットはほぼありません。ただ唯一高いコストという経済的デメリットはありますが。

同社の売上高の72%がダヴィンチの交換が必要な器具の販売、メンテナンスなどの保守費用によって支えられています。昨年末時点で同社の医療ロボットは世界で約4,400台使用されています。抑えるべき最大のポイントは1台150万ドルと言われるロボットの販売ではなく、利用先から得られる収益が大半を占めていることです。また売上高総利益率は7割と極めて高く、独占企業のメリットを最大限に享受しています。

これだけ素晴らしい企業ではありますが、5年後の株価が今より高いイメージは全く無いです。この魅力的な話は、遠い昔に私が陥った罠、3Dプリンタに酷似しており、かつ多くの投資家が危険性を指摘していたかつての独占企業Gilead Sciencesも浮かびます。
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まずインテュティブサージカルの売上の大半を占めるダヴィンチの交換用品については同社以外の企業が供給する時代が近いうちに訪れます。ジェネリックと同じです。既にそれ専門の企業も出始めてきており、少なくとも利益率は落ちます。社会保障が絡む医療業界であれば尚更で、政府主導で進められる可能性もあると予想します。
また今年から同社のロボットに関する多くの特許が切れ始めることもありますが、同業の競争にさらされることになります。既に昨年10月にTransEnterix (TRXC)がSenhanceというダヴィンチに酷似した医療ロボットを投入してきています。ダヴィンチにはない高機能もいくつか持っており、例えば患部の「触覚」を再現する機能やカメラを制御できる融通さを兼ね備えています。さらに恐ろしいことにダヴィンチの売上の大半を占める使い捨ての器具が再利用可能であるというおまけつきです。しかし未だに導入数が1桁との噂があり、普及していないようですが(医療業界とのコネクションが弱いとの話)、少なくとも値下げの圧力は受けることになるでしょう。
将来の最大のライバルでいうとメドトロニック(MDT)も無視できません。2019年に本格的な医療ロボットを投入予定で(本来は2018年だったが)、会社の規模からいうとインテュティブサージカルの倍あります。しかもTransEnterixとは違い、すでに世界中の病院と長期的な関係を持つ医療機器最大級のメーカーであり、機能が互角なら劣勢でしょう。
他にも日本では川崎重工業とシステメックスが合弁で医療ロボットの開発に取り組んでおり、さらに先になりそうですが、我らがJohnson&JohnsonもアルファベットXのプロジェクトであるVerbと組みロボット手術と大規模データと機械学習の統合に取り組んでいます。これが本格化するとどこも全く太刀打ちできない可能性もあります。
少なくとも独占企業のビジネスがいつか競争にさらされることは当たり前のことであり、今後5年で5倍以上の市場規模となる医療ロボット業界ならば尚更です。特に製造業はいずれ価格競争に陥ることは確実で、いずれは機械そのものよりもディープラーニングを含めた機械学習の能力、数々の症例やオペのデータをいかに保有し有効活用できるかという問題に行き着くでしょう。そう考えると将来の医療は優れた箱(機械)を開発するよりも仕組みを作る会社こそが投資家に大きな利益をもたらすと考えます。
ただインテュティブサージカルの現在における優位性は確かにあり、競争相手も遅れていることから当面の株価は強い可能性があります。ただ長期で大きな利益を目指す投資家にって脆弱な投資先と言わざる得ないですね。

2018年6月5日火曜日

シャープ再生を振り返る

この世に立ち遅れた産業などない。あるのは立ち遅れた技術とマネジメントだけ。
by鴻海精密工業 郭台銘
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シャープ
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JDI

今日、シャープによる東芝のPC事業買収が話題になりましたが、つい2年前まで瀕死だった同社が、少額とはいえ再び買収する側に回る日が来るとは・・・。
業績面でも変化は顕著です。4月に発表されたシャープの2018年3月期決算は4年ぶりの通期黒字となりました。また年間通じて全ての四半期が黒字になるのは10年ぶりで、6年ぶりに配当も再開しています。内容を見ても前期は全てのセグメントで売上高が増加しており、財務状況も大幅に回復していることが見て取れます。
足元は2,000億円規模の増資観測(優先株償却や研究開発費用)もあって下げていますが、シャープがここ2年で劇的に変わったことは確実でしょう。結果的にホンハイに買収されたことが全てのステークホルダー(株主、銀行、取引先、従業員など)にとって素晴らしい決定だったことが証明されたとも言えます。
一方で産業革新機構が再建を進めるJDI(ジャパンディスプレイ)は相変わらず危険水位に位置しており回復の兆しすら感じません。国家プロジェクトは延命のために税金を垂れ流すだけで、大きく局面を変えられることはなく、我々は今後もこの事例を胸に刻むべきだと感じます。今思えばシャープとJDIの合併なんて、よくそんな恐ろし案が議論されいてたと思います。この2社については以前書いたのでご参考。
シャープ   JDI

再生の2年間、シャープに強力な新製品が生まれたわけではなりません。ホンハイによる資金供給は大きな役割を果たしましたが、主な戦略は販路の拡大(主に中国)、コストカット、成果主義の導入、ほぼこれだけでです。これだけというのはあまりいい表現ではないですが、とりあえず親会社の戦略次第で会社は大きく変わりました。
シャープだけでなく、多くの日本企業が高コスト体質、グローバル戦略の弱さを抱えており世界における競争に打ち負けています。
ホンハイは明らかに、相当気を使ってシャープ再生に努めているのですが、それは今後より円滑に日本企業買収を進めるための配慮です。また日本企業の中にはシャープ同様、経営陣を替えるだけで化けると思われている企業がわんさかあると思われ始めています。実際数年前から海外のアクティビストは日本株を買い進めており、オリンパスの5%を握った米ヘッジファンドのバリューアクトなどはその筆頭です。第一次ハゲタカブームはその後のリーマンショックなどもあり、進まなかったですがこれからは分かりません。
確かにアクティビストも鴻海も自分の利益のために動くのですが、郭台銘氏も言うように経営陣へプレッシャーを与える存在は必要だと思います。国が進めるコーポレート・ガバナンスコードよりも本物のグローバル企業やファンドのプレッシャーに勝るものはなく、中長期的には日本をより強くするでしょう。

2018年5月24日木曜日

AdobeがMagentoを買収

AdobeがEコマースプラットフォームのMagentoを16.8億ドルで買収。
また同時に2021年までに80億ドル規模の自社株買い計画も発表しています。(従来は2019年までに25億ドルだったものを増額。)
当ブログではアドビについてはかなり強気で見ております。アドビの過去記事

マーケティング事業拡大を望むアドビにとって、Eコマースが弱点であることは多くの識者が指摘していました。実際salesforceも早急にEコマース分野を拡充する必要があったことから2016年にDemandware買収に動いています。
アドビがECを強化するのであれば、かねてより協業関係にあるMagentoとの大方の予想通りとなりましたが、これでSalesforce、Oracleと本格的にぶつかり合うことになります。

Magento買収によりアドビはwebサイトの構築はもちろん、デジタル広告や、決済機能まで幅広く提供できるようになり、競争力は大きく高まると予想します。
Magentoの同業としてはAutomattic傘下のWooCommerce、IBMのWebsphere Commerse、オラクルのATG web Commerce、Salesforce傘下のDemandwareがあります。また最近ではSaas型のECサイト構築を手掛けるカナダのShopifyなども台頭しており激戦ですが、Magentoは今のところトップシェアを持ちます。
アドビの買収戦略が優秀であることは有名ですが、今回もマーケティング部門の大きな戦力となると予想されています。マーケティング部門ができたのはまだ最近ですが、売上高は既に全体の3割程度まで成長しており、楽しみな存在です。

2018年5月23日水曜日

Ctripの決算は予想を上回る。

中国最大のOTAであるCtrip(CTRP)の第1Q決算は、売上高が前年比+11%の10.8億ドル、EPSは0.29ドル(予想0.15ドル)となり、いずれも予想を上回りました。売上高に占める費用の割合が低下し、マージンは大幅に改善しました。過去の記事にも書きましたが、利益率改善の余地はまだあり、今後再度評価が高まると思われます。また第2Qの売上高は前年比+12〜17%程度が見込まれています。本日のマーケットでは+5%程度上昇して始まっています。
注目すべきは、2016年に買収した英メタサーチのSkyscannerの売上高が前年比6倍となっていることです。同社の売上高はグループ全体の1割程度を占めるほどまで成長しました。さすがはチャイナマネー。世界の企業がこぞって中国への販売網を持ちたい気持ちがよく分かります。
(セクター別売上高)
前年同期比で見ると、
宿泊予約は+25%、パッケージは+18%、企業向け+23%、旅行券±0%
前四半期(2017年10-12月期)と比較すると、
宿泊予約は+14%、パッケージは+52%、企業向け-13%、旅行券-1%となっています。
季節要因が大きく影響していますが、全体的に概ね良好に推移しております。
ただ昨年、中国当局による旅行保険との抱き合わせ規制などもあり、売上高は鈍化してきています。しかし利益率改善期待から当面は上がると予想します。同社単独で中国の約6割のシェアを持ち、かつグループ企業を合わせると中国では支配的な存在であることから、成長は十分期待できます。
ただし同社はBIDU系列であり、Tencent、Alibabaの2強傘下ではないことだけが気になります。しかし株価が下がったこともあり、来期(2019年)の予想PERは20倍台後半と長期で見れば十分成果が得られる株だとは思います。

2018年5月6日日曜日

スポーツビジネス

サッカーロシアW杯まであと1ヶ月ちょっととなりましたが、残念ながら国内ではいまいち盛り上がりに欠けているように感じます。初出場した1998年のフランス大会からもう20年経ちますが、今やW杯は出場が当たり前となり、本番で結果が求められるようになった監督は大変ですね。しかしハリルホジッチ前監督の突然の解任は衝撃であり、様々な憶測が飛んでいますが、選手との関係ではなく、私としてはほぼビジネス上での判断だと確信しています。
 3月のゲーム後、スポンサーは日本の早期敗退を確信し、どうせ1次リーグで負けるなら少しでもユニフォーム販売に貢献し、視聴者を獲得できる人気選手を使ってほしいと判断したのではないでしょうか?まさかハリルホジッチ監督にそんな事は言えるははなく、そもそもそんな空気は絶対に読まない監督でしょうから、解任する以外に選択肢はありません。
交代のタイミングとしては遅すぎで、成果を少しでも上げるための人事ではないことは明白です。要するに今回のW杯では「結果」は捨てて、人気選手を起用することで少しでもビジネスが成り立つように方向転換したのではないでしょうか。
ハリル監督は本番で強さを見せるタイプと強調し、私もそれに期待していたのですがが、大金がかかった4年に1度のビッグイベントを仕切る立場の人からすれば、ハリルホジッチ監督ほど不気味な人はいないかもしれません。昨年の11月、新ユニフォームお披露目会でモデルを務めた香川選手は、直後の欧州遠征には呼ばれずアディダスは凍りついたはずです。ハリルホジッチ氏が監督が続投していても香川選手がメンバーに入る可能は高かったと思われますが、どんな人選をしてもおかしくない雰囲気を醸し出しており、スポンサーからすると恐ろしかったと思われます。確かに万が一にでも地味なメンバーばかりを招集して、見せ場なく早期敗退するようなことがあれば、「全く盛り上がらずに終了」という最悪の状況も想定されるだけにしょうがないかもしれません。
当初は協会もスポンサーも日本を強くするための監督ということで期待していたと思いますが、1次リーグ、下手したら2試合での敗退を悟ったのでしょう。サッカー協会の会長もスポンサーの意向を尊重するというサラリーマンであれば当たり前のことをしただけであり、ビジネスである以上批判は出来ません。が、しかしそれにしてもつまらなくなりました。ただ結局のところ実力者を使うよりも知名度がある人気選手を使うほうが視聴率は取れるというのが日本のサッカー事情であることも理解しないといけません。

話は変わりますが、CNNによるとプレミアリーグ2016-2017シーズンの売上高は過去最高の64億ドル(前年比+25%)になったとのことです。日本もDAZNの参入などでJリーグの収益は大幅アップになる見込みですが、大谷選手が活躍するMLBは昨年約100億ドル、NFLに至っては125億ドルになる見込みだそうです。ちなみに日本でダントツのNPBは1600億円程度でJリーグはJ3まで合わせて900億強程度とのこと。
規模の差は、そのまま選手が受け取る報酬の差となり、野球もサッカーでも一流選手は海外のトップリーグを目指します。大谷選手のようにやりがいを重視する理由もあると思いますが、金とレベルはほぼ比例し、いずれにしろ有望選手が海外を目指す流れは加速していきますので少し寂しいものですね。
元サッカー日本代表監督である岡田氏は、日本ではスポーツでお金のことを言ってはいけない風潮があると言います。またスポーツビジネス自体がスポンサーに依存しすぎて自立出来ていないとも指摘します。
逆に公営ギャンブルとして認められ、週末に莫大な金が動く日本の競馬は、賞金を含めて日本がナンバーワンで、一流ジッキーがこぞって来日しています。 やはりスポーツをビジネスとして扱うなら金は切っても切れない関係であることは常識です。金を生まないビジネスに未来はないですが、スポーツとて同じこと。そういう意味では日本が今後スポーツビジネスを推進するのであれば、今回の代表監督人事のようなことも多数出てくるとおもいますし、それはそれで成長している証なのかもしれません。
ただ人口が減る国内マーケットは確実に縮小していくため、コンテンツを海外に売れなければ未来がないように感じます。国内の新たな層の開拓は必要ですが、10年20年先を見据えれば、もうJリーグ廃止して、アジアリーグ作った方がいいんじゃないかと。アジアの人気選手を呼ぶ戦略は分かりますけど、私の予想だとコンサドーレ札幌のチャナティップ選手なんてのは来期は欧州のチームに引き抜かれそうですけど。世界のスポーツビジネスは今後アジアを最重要視してくるでしょうし、そこのスター選手は欧州の一流選手を上回る市場価値があると思いますので引っ張ることも容易ではないでしょう。私としては外野からただ言うだけで申し訳ないですが、日本がプラットフォームを握るアジアを軸にしたプロースポーツ運営に期待したいです。

2018年4月30日月曜日

クラウドの成長は続く

2018/1-3月期において、AWSの売上高は前年比+46%(2018/1-3月期)、Microsoftのアジュールは前年比+93%となるなど急成長が続いています。クラウド成長の恩恵は半導体業界にも及び、データセンター向けに半導体を供給するインテルも事前予想を大きく上回る決算を発表しました。
企業があらゆるデータをクラウド管理する流れは、利便性(AI・IOT)、コスト面から確実であり、今後景気が悪くなろうが、戦争が起ころうが、政治がどうなろうが関係なく進んでいく「大きな流れ」です。保守的な政府・金融機関も数年内にほぼクラウドベースが当たり前になるでしょうし、そのため今後クラウド化の流れに乗って大きく躍進する企業が続出すると見ており、これを逃す手はないと感じます。
特にAmazon、Microsoft、Alphabetなどの大手はもちろん、その他にもソフトウェア企業中心に注目していく必要があると感じています。(私は半導体はいずれコモディティ化すると見ている。)
またamazonとMicrosoftは広告事業が急伸したことも好感されました。FBの一件以降、インターネット広告に対する風当たりや警戒感が強まっていますが、その懸念はやはり無用ではないかと感じています。なぜならインターネットが素晴らしいのは多くのサービスが無料であるからであり、それを可能にしているのが広告産業であるからです。物事の道理として、広告の規制はユーザーの負担を押し上げるものであり、長期的には過度な規制は進まないでしょう。
またWJSは、規制は資金力のある大手(グーグル、フェイスブック)の寡占を一段と後押しすると予想しています。EUでは5/25にプライバシー保護のためも法律(GDPR)の導入が施行される予定ですが、「厳しい基準を求めれば求めるほどそれに対応するコストは増加し、小規模業者が不利になる。」と指摘します。

2018年4月23日月曜日

ハイテク株相場は当面続くと予想。

10年前の2008年、世界時価総額ランキングはこうだった。
1位Exxon Mobil
2位Petro China
3位Walmart
4位China Mobile
5位P&G
6位Microsoft
7位GE
8位AT&T
9位JNJ
10位Chevron

それが2018年現在では(3月末)
1位Apple
2位Amazon
3位Alphabet
4位Microsoft
5位Berkshire Hathaway
6位Tencent Holdings
7位Alibaba
8位Facebook
9位JPMorgan Chase
10位JNJ
となった。
10年前から10位以内をキープしているのはMicrosoftとJNJのみで、数年前までトップ10の常連だったExxon Mobil、Walmart 、P&G、GE、A&Tなどは軒並み順位を落としてる。特にGEに至っては1年前からみて株価は半分以下で、現在の世界時価総額ランキングでは50位圏外に沈んでいる。
また超優良銘柄の代名詞であったP&Gも業績が伸び悩んでおり、抜本的な改革に迫られています。(高度なマーケティングとブランド戦略で利益率も高く、今までが良すぎた。)現在、バリュエーションの調整やマーケット状況を考慮すると株価はさらに下落する可能性が高まっており、危険な見通しです。
高成長を軸にする以上、P&Gは業績面からとっくの昔に外すべき銘柄であったのですが、ポートフォリオからはようやく年始に外しました。理由は株式市場全体の大幅調整のリスクが高まっており、割高かつ成長がない株ですので一度下がると数年死ぬと踏んだからです。自身で経験したかつてのディズニーがそうでした。しかし恥ずかしいことに長期投資を実践するというプライドが邪魔をしてずっと動けず、危険な領域まで来ていたことを反省しております。以前はどれだけ悪くても10年以上というのが想定だったのですが、実践できておらず、自身のレベルではまだまだ難しいと感じ始めています。
またランキングに戻りますが、現在の時価総額上位10位までのうち、バークシャー・ハサウェイとJPモルガン・チェース、ジョンソンエンドジョンソン以外は全てハイテクとなっています。ここ数年間のハイテク株の躍進は10位以下のランキングを見ても顕著となっており、現在S&P500に占めるハイテクの割合は25%近くまで上昇しております。
ハイテク躍進の理由は簡単で業績です。バリュエーションが高まって確かにリスクはあるのですが、業績が一番いいのもハイテクセクターであることは確かです。多くのハイテク株は新たに広がるビジネスチャンスをものにし、時には非効率な既存の産業を破壊することで、一般的な経済成長を大きく上回る結果を出しています。私自身はハイテクを最も重要視していますが、それはかつては数十年を要したリターンを短期間で成し遂げる結果に素直にコミットして投資をしているからです。
ちなみに現在、ADBE、Salesforce、Facebookが最良の投資先と考えていますが、ちょうど今から数時間後に決算があるアルファベットに関しては別格で、最も安定して上昇する可能性があると感じています。これについては何度か言及していますが、2桁の成長率に対してバリュエーションも低く、鈍化しても十分元が取れると思います。Appleのようなリスクの高いハード依存型企業ではなく、半導体メーカーのように先が心配な投資先ではありません。個人的にはP&Gやコカ・コーラ、マクドナルトよりも今後安定して推移すると思います。もちろん配当や自社株買いなどの株主還元には弱いですが、時代に即した魅力的なサービスを展開し、着実に利益を積み重ねていて、いずれMicrosoft並に還元はしてくると思います。もしかしたら数年後は安定株の代名詞になっているのではないでしょうか。私はそう予想します。
ただいつまでも投資家は自由にハイテク株の成長を享受できるとは限りません。以前申し上げた通り、ハイテク株への投資は巨大ファンドや巨大企業の大量の資金が押し寄せています。景気が悪くなれば一挙に片付く問題なのですが、有望なハイテク株は未公開の時点ですでにとてつもない割高な状態となっています。しかも未公開株への投資を行うプレーヤーはかなりレベルが高い。孫正義氏は何と言ってもAlibabaの投資をはじめ、あの混乱の時期にARMを買収し、NVIDIAとも提携し、この半導体バブルのかなり中心近くにいます。Sprintについても破綻した買収交渉をこっそりと再開しており、巧妙な交渉戦術を展開し今度こそ売却すると見ています。モバイルとSprintの売却資金をよりハイテク投資へ振り向けると予想しており、当面未公開のバリュエーションはさらに増していくと思われます。さらにシンガポールの国家ファンドや中国勢も進出し、もはや新たに出てくる上場企業は、落ち目か投資不可能なバリュエーションなのではないかと危惧してなりません。